ある用事があって渋谷から表参道へ宮益坂を急ぎ足で歩いていると、
「スイマセーン」と後方から話しかけられた気がした。
振り返るとネプチューン名倉氏似の外国人男性がこっちを見ている。
推測では東南アジア系で日本語を少しかじった35〜40歳ぐらいの男性。
こっちは急いでたけど男は明らかに困り果ててる感じだったので話を聞いた。


男:「コドモノシオハドコ?」
CJ:「子供の塩?」
男:「コドモノシオドッチ?」
CJ:「あぁ、子供の城ですか?この道をずっと行けば着きますよ」
男:「オカモトアル?」←岡本太郎の巨大オブジェのことだと思う。
CJ:「岡本あります」
男:「オカモトzfdvuevauiv?」←たまに日本語と母国語が合体する。
CJ:「・・・岡本はありますよ、外に」
男:「オカモトsvgntgvsaceruioアル?」
CJ:「オカモト ビッグオブジェ アル」←徐々に片言が伝染する。
男:「オカモト コドモノシオ?」
CJ:「イエス オカモト ビッグ コドモノシオ」
男:「nbsgiugnvsvi・・・」←ここからしばらく完全に母国語の話が続く。


男はリュックから一枚の地図のコピーを取り出し何か必死に説明を始めた。
自分も男の母国語に耳を傾けながら地図を覗き込んでみる。


CJ:「ふむふむ、えーっと天王寺に新世界に通天閣って、これ大阪やんけ!」


そんなベタベタなノリツッコミはもちろんしてないけど、
意味の分からなさと焦りと寒さでもう頭がおかしくなりそうだった。


CJ:「アー ワカラナイデス ゴメンナサイ」
男:「アー ドモアリガトゴザイマス・・・」

そう淋しげに言い残して男は子供の塩とは反対方向へ歩いて行った。
自分は子供の塩で岡本のオブジェをいつもとは違う気持ちで見てきた。
男は一体どこへ向かうのだろう。


ジョゼと虎と魚たち
部屋とYシャツと私
子供の塩と岡本と大阪